2024/12/24 徳島大学病院脳神経内科です。
徳島県臨床内科医会所属の先生方には平素より大変お世話になっております。
徳島大学病院脳神経内科は、脳卒中、認知症、パーキンソン病、てんかん、頭痛、神経免疫疾患、神経筋疾患など、幅広い疾患を対象に診療をおこなっています。
梶龍兒前教授、和泉唯信教授のもと、当科主導でおこなった筋萎縮性側索硬化症(ALS)の医師主導治験では、高用量メコバラミンの有効性が証明され、このたびエーザイ株式会社よりロゼバラミン®の商品名で国内では9年ぶりのALSの新薬として上市されました。
=== さて今回は、アルツハイマー型認知症の新規治療薬である、抗アミロイドβ治療薬についてご案内いたします。現在レカネマブ(レケンビ®)とドナネマブ(ケサンラ®)の2つの薬剤が承認され、徳島大学病院でも治療を開始しております。
レカネマブは、アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症の患者が対象です。具体的には、MMSEスコア22点以上、CDRスコア0.5または1の患者が対象となります。CDR 0.5または1とは、認知機能障害はあるが日常生活は自立している、あるいは服薬管理や金銭管理等の障害はあっても身の回りのことは自立している状態がひとつの目安となります。ドナネマブは、MMSEスコア20点以上28点以下、CDRスコア0.5または1の患者が対象です。
ご紹介いただいた患者様は神経診察、神経心理学的検査、MRI、脳血流シンチグラフィーなどの検査をおこないます。加えて、抗アミロイドβ治療薬の適応は厳格に定められており、脳へのアミロイドβの蓄積を証明するために、アミロイドPETや脳脊髄液検査(当科外来では通常はアミロイドPETを優先します)をおこない、治療適応を判断します。
レカネマブは外来で2週間に1回、ドナネマブは月1回の点滴治療が行われます。治療中は、脳浮腫や脳出血などの特有の副作用に注意し、定期的なMRI検査が必要になります。治療期間はレカネマブが18ヶ月、ドナネマブが12〜18ヶ月となります。
これらの基準、診療内容を参考に患者様をご紹介頂けますと幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(写真は2024年の阿波踊り 扇連の皆さまと)
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