後発医薬品不足による出荷調整問題が一向に終息しない。当院のように院内処方を行っている地方の小さな診療所にとって本当に大きな問題である。ある日突然薬が入荷できないとの連絡が入り、慌てて他のメーカー品を問い合わせ、何とか調達しやり繰りしている。処方する度にメーカーが変わり、その都度カルテを書き直している。患者も嫌気がさして先発品に戻してくれと訴える。ところが、その先発品も後発品不足の煽りを受けて出荷調整が掛かっており、新たに入荷することができないという。
 そんな中診療報酬改定が行われ、外来後発医薬品使用体制加算で加算要件が厳しくなった。後発医薬品の使用率が加算3で70%から75%に、加算2で75%から85%に、加算1で85%から90%へと引き上げられたのだ。後発医薬品の出荷調整が続いている中、どうやって後発品の使用率を増やせというのか?嫌がる患者を説得し先発品から後発品に何とか変更し、ようやく加算が取れるようになったと思ったらあっという間に取れなくなってしまった。
はっきり言って気持ちが折れてしまう。
 そもそもこの問題の根源は、後発医薬品の使用率をあまりにも性急に上げようとし過ぎたためではないだろうか。後発医薬品優遇の診療報酬体制、各医療機関への後発品変更への強要、地方行政やメディアを使っての国民への後発品変更へのプロパガンダ、後発医薬品製造会社優遇の甘い検査体制等。小林化工や日医工の問題が発生し、いざ検査を行ってみると次から次へと不正製造が発覚し、多くの後発品製造会社が停止処分となり後発品不足に陥ってしまった。目先の成果主義に拘り過ぎたために招いた問題ではないだろうか。
 今回の診療報酬改定では機能強化加算も算定要件が厳しくなり、新たに新設された加算にも多くの附帯要件が付いている。さらにはリフィル処方。新型コロナ禍による感染予防対策に加え、デジタル化や24時間診療の強要。医療費削減が強要される中、医療を取り巻く環境だけは一層厳しさを増している。
 SDGs(Sustainable  Development  Goals)という言葉を最近よく耳にする。2015年に国連で採択された国際目標で、地球上の誰一人を取り残さないことを前提に持続可能な開発目標が掲げられている。未だ経験したことのない高齢化社会を迎える中での新型コロナ禍。今我々は困難な中にあり、変革を強いられている。安心・安全で質の高い医療を求めるのは当然のことではあるが、同時に目先の成果主義に陥らないよう努めなければならない。大局を見据えて、持続可能な医療を続けられるよう取り組んでいく必要があるのではないだろうか。
 5月16日(月)、徳島県臨床内科医会総会が催され、橋口淑夫前会長の後任として徳島県臨床内科医会会長を拝命した。副会長には豊田健二先生と上田聡一郎先生に就任頂いた。微力ではあるが、会員の皆様と伴に地域医療と本医会の発展に尽力したいと思っている。


2022年6月
徳島県臨床内科医会 会長
恵美 滋文