この度、徳島県臨床内科医会(以下、徳臨内)会長に就任した上田です。会員の先生方のご支援を頂いて、徳臨内を運営して行きたいと思います。よろしくご支援をお願いします。幸いなことに、豊田健二先生、本田壮一先生を副会長にお迎えして強力なサポートを頂けることになりました。安心して運営ができる体制が整ったと思っています。

最初に嬉しい報告ですが、日本臨床内科医会(以下、日臨内)の地域医療功労賞を関啓先生が受賞されました。長年日臨内に貢献され、現在の徳臨内があるのも先生のご尽力のお陰と思います。令和6年5月20日、総会後に祝賀会を行いました。

令和6年は1月1日16時過ぎに発生した能登半島地震が本年の始まりでした。阪神淡路大震災ほどではなかったですが、震度3のゆっくりとした横揺れを自宅で感じて不安を覚えました。その後DMAT、JMAT、DPATなど多くの救援隊の現地での活動報告から状況が少しずつ分かるにつれて、徳島でも東南海地震があれば同じようなことになるという不安が募ります。
災害に対する備えとは別に、日本の抱えている課題の一つが高齢化問題です。2025年には5人に1人が2040年には4人に1人が後期高齢者になるという予測があります。若い人口が増える見込みがないことから、医療保険や介護保険の効率的運用のため様々な政策が試行錯誤されています。国の緊縮財政が避けられない中、今回の診療報酬改定では内科を標榜する開業医に厳しいものになりました。昨年から円安、世界の物価上昇などで、人件費、食費や燃料費などあらゆる面で経費が上昇しています。その中での今回の診療報酬のマイナス改定を行っています。医療の先行きを国はどう考えているのでしょうか。
また、私も含め、開業医の顔ぶれが殆ど変化していない現実も直視しないといけません。かかりつけ医は高齢化の一方で、電子カルテの導入など医療DXの推進や24時間対応が求められています。厚労省が推し進めるデジタル化推進のためには、未導入の医療機関には機材のハードやソフトの経費が増加します。また研修会への参加や知識のあるスタッフの雇用も考えないといけませんので、大変な思いをされていると推測します。さらに勤務医の過労死を防ぐように求めていますが、在宅診療をしている個人経営の医師にはいわゆる36協定は適応されません。自分の過労死は自分で防ぐようにという自己責任の世界です。過労死を未然に防ぎながら行う、24時間対応の在宅医療には、医師同士や訪問看護、訪問介護、ケアマネージャーなどとのチーム医療を構築して実践することが必要であるのは当然のことですが、どのようにしたらよいのか、困っている医療機関は多いと思います。

以上のような事情で、閉塞感を強く感じている先生方が少なからずおられるのではないかと思います。(このような状況を打開するために)、徳臨内はどのように運営すればよいのでしょうか。

第一に、会員を増やすこと。これは必須です。残念ながら日本臨床内科医会(以下、日臨内)でも、多くの先生方が精力をつぎ込んで会員増強を図っていますが、会員数は増加に向かっていません。しかし、日臨内や徳臨内が存在意義を示せるのはやはり会員数だと思います(災害対策、診療報酬改定、補助金、など国への要望を打ち出すには会員数の多い内科医会であることが大事だからです)先ず今後2年間で徳臨内の会員数を現在の189名から200名以上へ増加することを目指します。人口減少の影響で開業医数は減少すると予想されます。そのような時に開業医の中から会員を増やすのは非常に難しいことです。自然減に負けないように少しでも新規会員を増やすことが出来ればと思います。その為には既に会員になっている医療機関特に勤務医の多い病院で会員が増えることを希望します。是非、徳臨内入会をお勧め頂きたいのですが、より入会しやすいように優遇策をご検討下さいませんでしょうか。私のようなクリニックでは会員増強に協力できるのは友人や知人の加入を勧めることになります。会員各位が少なくとも一人の入会をお勧めいただけると有難いです。また、これは更に難しくて実現性は低いですが、仮に徳島県医師会の協力が得られたら、ですが、徳島県医師会の内科系新規入会医に徳臨内にも自動的に入会して頂くシステム作りを行うのはどうでしょうか。そのように徳島県医師会と交渉することを来年以降の徳臨内総会で承認をいただければ、徳島県医師会と交渉してみたいと思います。

第二に、日常診療のスキルアップのために、今までの会長の先生方が行ってこられた、日常診療に役立つ講演会や、徳島大学の教授を中心としたカンファレンスを行いたいと思います。会員の先生方のご希望に沿えるように頑張ってみたいので、ご提案や運営にご協力をお願いします。惠美前会長は講演会をハイブリッドで四国地区に配信してこられました。その流れを絶やさないように、共催製薬メーカーのサポートを受けて、中国四国地区にハイブリッドで配信できる講演会を行いたいと思います。講師に徳島の会場で講演をしていただいて講演会終了後、参加者が直接、講師と面談できる時間を取りたいと思います。会場で活発な質疑応答をお願いします。更に日臨内では、「かかりつけ医のためのWEB講座」を配信しています。会員だけがアーカイブ視聴できます。ご活用ください。ACPを始め日常診療に有用な冊子も揃っていますので、ご活用ください。

第三に、徳臨内や日臨内への情報発信をお願いします。徳臨内では情報を発信する手段として、会報とホームページとがあります。会報は年に1回、11月頃に発刊しています。日頃考えていること、実践していることなど、投稿ください。ホームページにはメンバーズルームがあります。メンバーズルームへも投稿をお願いします。会員、全体の意見交換の手段として使って欲しいと思います。その中から新しい意見、新しい気運が出てくるのではないかと思います。

第四に、徳臨内の会員に、余暇を楽しく過ごし親睦も図るためのイベントを企画してみるのはどうでしょうか。好評であれば、結果的に徳臨内入会の価値を高め、入会希望者が増えるかもしれません。これに関しては会員の先生方のご意見をお待ちしています。

最後に、今までの良き伝統を引き継ぎながら、身近な徳臨内を目指したいと思います。会員の先生方のご協力をお願いして2年間の責務を果たしたいと思いますので、よろしくお願いします。


2024年5月
徳島県臨床内科医会 会長
上田 聡一郎